2011年08月03日
ブラッド・ダイヤモンド
大好きなジェニファー・コネリーが出演している映画なので見たのだが、
これほど国際社会の暗部を告発する内容の映画だとは思わなかった。
いわゆる「紛争ダイヤモンド」を扱っている話で、
映画に出てきた残虐な武装集団「RUF」というのは、
ほぼ映画そのままの形で実在したというから、びっくりする。
関係ない村を焼き、民衆を殺し、捕まえた大人はダイヤ採掘の奴隷化し、
捕まえた子供は麻薬漬けにして、洗脳によってRUFの兵士にしてしまうという、
映画だけの話かと思ったら現実だったというから凄まじい。
主演しているレオナルド・ディカプリオは、
ややもすると社会派の映画や深みのある映画に縁遠く、
ハリウッド的な娯楽志向の映画ばかりに出ているイメージがあったが、
この映画を見て、私のディカプリオの評価が変わった。
こうした社会性のある映画でも
役を見事に演じきれる優れた俳優だと再認識した。
2009年07月08日
アラバマ物語
グレゴリー・ペックの演じる弁護士は、
非常にジェントルで、物静かでありながら、強い信念を内に秘めた社会人であり、
子供たちを温かく見守り包み込む慈愛に満ちた理想の父親像であろう。
決して子供を口を荒げて怒ることもない。
黒人蔑視で凝り固まった白人たちを非難するのも、
暴力や激しい言葉ではなく、強い信念に裏打ちされた理性的な言葉である。
そんな父の姿を見て、子供たちも自然と敬愛の念を抱いていく。
昔は日本にもこういう父親がたくさんいたのだろう。
今の日本の父親は、慈愛ではなくほとんど盲愛に近い。
一番重要なのは、自分のすることが正しいと自信を持ち、(しかもそれをひけらかさない)
周囲の人の目や評価を気にすることなく、正しいと思うことをやり遂げる生き方である。
この映画を見て、最近失いかけていたものを自分の中に取り戻したような気がした。
それから、ここでのグレゴリー・ペックの演技は、
彼のキャリアの中でも最も素晴らしいものの一つだろう。
オスカーを取ったのも納得である。
人間の良心を体現するアメリカの俳優としては、ヘンリー・フォンダと並ぶ双璧だと思う。
また若きロバート・デュバルは、端役ではあるが既に名脇役となる才能の片鱗を見せている。
最後に、この映画のラストの言葉には、思わず胸が熱くなった。
「翌朝ジェム(暴漢に襲われて怪我をした息子の名)が目覚めた時、
夜通し付き添った父の姿があった。」
邦訳も素晴らしい。
2009年06月15日
ターミネーター4
【ネタバレ注意!】
今日は仕事でやる気が失せることがあったので、定時でとっとと退社した。そして帰る車の中でふと思いついて、久しぶりに映画を見に行った。「ターミネーター4」である。
映画館で映画を見るのは、何年ぶりになるだろう。何しろ「スターウォーズ エピソード1」以来である。調べたら99年公開なので、なんと丸10年振りである。これには我ながらびっくり。結婚してからは家を建てたせいもあって金がまったくなく、映画なんて見に行ける余裕がなかったので、これも離婚のご利益だろう。
ご利益といえば、今日はなんと「栃木県民の日」で映画が1000円で見ることができた。知らずに思いつきで見に行ったのだが、前売券買い損ねて失敗したと思っていたところだったので、ちょーラッキー!
ターミネーター4は、正式には「TERMINATOR SALVATION」という。戦士に成長したジョン・コナーが、将来自分の父となる若きカイル・リースを救う物語である。基本設定は、T-3も含めて全て引き継がれているようである。「T-3も」というのは、1,2を監督したジェームズ・キャメロンがT-3にはひどくお冠で、認めていないという話を聞いていたからである。しかし、3をまったく無視するのは、興行的にまずいと判断されたのだろう。俳優は全て変わっているが、設定は生きている。
映画は、大規模なCGやSFXがふんだんに使用され、さすがに重厚な娯楽大作に仕上がっている。娯楽映画なので、精神性の深さは望むべくもないが、なかなか楽しめる映画に仕上がっている。ただ、スカイネット側がHKなどの強力な航空兵力を持っているのに、人類側の空軍基地が地上で温存されているのは、設定にちょっと無理がある。似たような設定の「マトリックス」シリーズの方が、地上は全てマシーンに制圧されていて説得力がある。また、スカイネット中枢部の防御網も割りとあっけない。マーカス・ライトの改造理由も、改造当時の2003年に「敵内部潜入型殺人マシーン」の必要性があったのか、それともその後のスカイネットによる地球制圧で、当初とは異なる理由で再改造されたのか、そこもよくわからなかった。
まぁ、でも迫力があって面白いことには変わりがない。また続編ができる可能性があるようなので、今後も楽しみだ。
ちなみに話題のシュワちゃんは、デジタル合成したしわのない若々しい顔で登場するが、こういうハリウッドの合成技術っていつ見てもすごいなー。
2008年09月28日
ポール・ニューマンの死
ニューマンは私がもっとも好きな俳優の一人だ。「明日に向かって撃て」や「スティング」で見せた、ロバート・レッドフォードとの絶妙な掛け合いは今も忘れられない。それ以外にも「暴力脱獄」や「評決」、「タワーリングインフェルノ」など、数え上げたらきりがない程、多くの映画で鮮烈な印象を残してきた。名優を多く輩出したことで有名な、アメリカのアクターズ・スタジオ出身の代表的俳優でもあった。
レッドフォードとはかなり親しい友人で、TVで放映されている"Inside the Actors Studio"にレッドフォードが出た際、ニューマンとのいろいろなエピソードも語られていた。レッドフォードが一躍大スターの仲間入りを果たすことになった「明日に向かって撃て」で、無名のレッドフォードを強くサポートしたことや、ニューマンとのいたずら話など。また、ブルース・ウィリスが出演したときには、ノーバディーズ・フールで共演した際、はるかに後輩のウィリスに、ニューマンが「俺の今の演技をどう思う?」と聞いたのでビックリした、素晴らしい人だと語っていた。
それ以外にもレーサーとして有名で、ル・マンに出て活躍したほか、インディでは自分のチームを作って、チームオーナーとして参画していた。かなりの年(たしか70歳代後半)になるまで、現役のレーサーもしていた。
昨年だったか俳優業を引退するというニュースがあり、先日は癌で闘病中と伝えられたので、危ないかなとは思っていたが、やはり訃報に接するとショックである。
謹んで御冥福を祈ります。
なお、アメリカの新聞社などのサイトを見たが、ニューマンの死はほとんど1面TOPの扱いである。ニューマンの影響力の大きさを感じさせるとともに、アメリカにおける俳優の地位の高さが良くわかる。
2007年10月28日
ヒトラー 最後の12日間
先日、NHK BS-2で放送したのを録画していたので、やっとこさ暇を作って見た。私は太平洋海戦史には詳しいが、ヨーロッパ戦線には全く疎い。だから戦争末期のドイツの状況などは詳しくは知らないのである。ただ映画は好きなので、「史上最大の作戦」や「パットン大戦車軍団」、「バルジ大作戦」、「遠すぎた橋」などで大まかなところを知っている程度である。
物語は、原作者でヒトラーの秘書を勤めた女性のインタビューの後、ソ連軍がベルリンに迫りつつあるドイツ降伏間近から始まる。そこに見られるのは、終戦間際に首都が瓦礫の山と化していきつつも、そこを守るために必死で抗戦を続ける軍人を横目に、保身と享楽にのみうつつを抜かす支配者層の姿である。
すなわち地上では、圧倒的な兵力で迫り来るソ連軍を前に、まっとうな軍人達が絶望的な戦いを続けているのに対して、総統地下壕ではイエスマンの元帥・大将連が自棄になって酒浸りになるわパーティーは開くわ、何万もの兵士や市民が死んでいくのを完全に見殺しにしているのである。それでも無条件降伏だけは絶対にしないと言い張る無責任さ。ヒトラーもひどいが、側近連中もまた愚劣極まりない。それもそうだろう、有能で責任感があり、ヒトラーに諫言するような人間は、みな既に殺されるか遠ざけられるかしているのだから、まともな人間が残っているわけはない。
それにしても私の知る限り、同じ敗戦前夜にしても、まだ日本の指導者たちの方がマシだったようだ。少なくとも日本の首脳部は、サイパン失陥の衝撃で東条内閣を倒してからは、裏で終戦に向けた動きを始めているし、東京大空襲のさなかにパーティーはしてないだろう。
この映画がどこまで史実に忠実に書かれているかは議論の余地があるそうだが(Wikipediaによる)、ドイツの首脳部は全くひどい。最後のベルリン防衛軍司令官のヴァイトリングの存在だけが救いのようだ。
2007年10月09日
ニューシネマパラダイス
BS朝日でいい映画をやっていたので、BDレコで録画して見た。見た映画は、映画好きには言わずと知れた、ニューシネマパラダイスである。大体ここしばらく映画自体あまり見ていなかった。CSで「独眼流正宗」をやっていたので、最近はずーっとそればかり見ていた。
ニューシネマパラダイスは、初上映当時、盛んにフジテレビでCMやっていたのだが、いい場面は全く見せないCMだったので、別段見ようとも思わず数年が過ぎたものだった。ちなみにこの「いい場面は全く見せない」CMっていうのは最近ないですねー。近頃は中身がプアーな映画が多いので、ヘタするとCMで見た部分がその映画のいいとこ全てだったりする。そんなときは大ハズレと諦めるしかない。
さて、本題に戻ってこの映画。何年もたってから、BS2かなにかで初めて見てみたら、あらびっくり。とっても良い映画じゃないか!うちの親父も映画好きで、これは良いぞ!と言っていたのを無視して数年。なんとなーく、という感じで見て予期せず良い映画に会った時は、とってもうれしいものだ。
今回あらためて見て、その感動が久しぶりに蘇ってきた。映画に夢と魔法の力があった時代。映画が町のみんなの共通で唯一の娯楽だった時代。その描き方がシチリアのラテン的陽気さと溶け合って見ていて微笑ましい。また、トトとアルフレートの美しい人間関係や、トトの切ない悲恋も素晴らしいが、それ以上に圧巻なのはラストの名画のキスシーンの数々。最近ではAVまがいのラブシーンもあるご時世だが、昔はこんなに素朴で美しかったと思い知らされる。そしてそれらの珠玉の様な名シーンを支える美しい音楽。
今回放映されたのは、トトの悲恋の結末のないオリジナル版だったので、見終わった後、昔のビデオを取り出して3時間完全版も見てしまった。どちらを見ても名作といえる一品だ!
2007年04月11日
「男たちの大和」
先日、「男たちの大和」をテレビでやっていたので、レコーダーで録画したものを見た。予想していたこととはいえ、はっきり言って、期待に違わぬ駄作だった。大体、戦争映画が駄作になるのは、2通りのパターンがある。兵士や特定の将軍などを美化して描く場合と、お涙頂戴ものの皮相な人情ものにしてしまう場合である。「男たちの大和」の場合、後者の方である。
お涙頂戴ものの場合、人間関係や心理描写に深みがなく、全く表面的に語られているに過ぎず、ただ肉親の情や友情に事寄せて涙を誘おうというものが多いが、その典型であった。なぜ彼らは水上特攻をしなければならなかったのか、だれがそう仕向けたのか、ほとんどまともに描かれていなかった。
もう何年も前に、沈没した大和を捜索して、撮影に成功したとき、特集でテレビ特番が組まれたが、そのときのドキュメントの方がはるかに深い思いを抱かせた。特に、その番組の最後の方で、ゲストとして出演していた漫画家の松本零士が、亡き母のことを語り出して突如として慟哭しだしたときのことは、今でも忘れられない。出来損ないの映画よりはるかに説得力を持つ。せっかく渡哲也などの大物俳優を起用しているのに、その描き方の薄っぺらいことといったらどうしようもない。
それから、この映画で心配だったもう一つの点は、史実がどれだけ忠実に描かれるか、であったが、これも落第。太平洋戦争の経緯は問題がない。水上特攻(正式には、菊水1号作戦という)の描写が問題である。なんか乗組員がほとんどアメリカ軍航空機の機銃掃射でバタバタ倒れているが、航空機による対艦攻撃の主力は、雷撃(魚雷攻撃)と急降下爆撃だろ?事実大和は、正式に確認されているだけでも魚雷17発以上、爆弾10発以上を食らっているはずだが、魚雷の命中シーンなんて1~2発しかない。しかもこのときのアメリカ軍は巧妙な作戦を立てていて、大和の防水区画への注水による傾斜復元機能を喪失させるため、左舷からの魚雷攻撃を集中して行ったのである。そのため、あっという間に右舷の防水区画はすべて水で埋まってしまい、もはや傾斜を止めることができなくなったのだが、そんなこと一言でも触れられていましたっけ?それから被弾して火災が起きたら、消火活動をするだろ?太平洋海戦史を紐解くと、被弾した際のダメージコントロールが優れていたために、沈没を免れた艦がいくつもある。史実を知っている目からすれば、もう途中からしらけムード。あらためて先日ブログに書いた「トラ・トラ・トラ」という映画の史実を直視した優秀さがわかる。
いい加減、そろそろこういう戦争映画をつくるのはやめてもらいたいものだが、やはり日本人というのは民度が低いのだろうか?いまだに歴史事実を直視できないバカな政治家が多いし。南京大虐殺なんて、虐殺された人数が問題なのではない。やってはいけない戦争を始めて、しかも前線の軍司令官が独断で戦域を拡大させ、南京まで攻め入ってしまったことがそもそもの問題なのだが・・・。

