例によって、山の中の城がほとんどです。
岩手の中世城館では、信頼に足る縄張図情報が少なく、
以前は岩手県の遺跡マップで位置を特定する他は、
ぶっつけ本番の現地踏査で遺構を確認する必要がありました。
その結果は、例えば『岩手県中世城館跡分布調査報告書』の縄張図だと
堀の数が間違っているとか、
かなり過去資料に問題があることがわかっていました。
しかし最近になって、恐るべき新兵器、というか新資料が公開されました。
それが1mメッシュの赤色立体図です。
「全国Q地図」という個人で運営されているサイトなどで、
全日本のかなりの広範囲でこの詳細地形図が一般公開されています。
これまでにも一部地域で1mメッシュのCS立体図による詳細地形図が一般公開されていましたが、
微地形の表現力ではやはり赤色立体図に分があります。
特に全国Q地図では、全域ではないものの県域を特定することなく
全国規模で1mメッシュの赤色立体図が見れるようになっています。
これは赤色立体図を開発したアジア航測㈱の特許が切れた事による恩恵なのだと思います。
1mメッシュの赤色立体図が無料公開されたおかげで、
実地踏査する前から城の詳細構造が把握できるようになっています。
しかし今回、この赤色立体図を元にして岩手の山城を踏査した結果、
問題点が一部明らかになりました。
それが今回のテーマである「疑似土塁」問題です。
疑似土塁とは私が勝手に名付けたものです。
土塁がないのに、あたかもそこに土塁があるように赤色立体図に表現されてしまっている事象を
指します。
赤色立体図の原理は、
航空レーザー測量で地表面から反射してきたレーザーを捉えて
標高データモデル(DEM)を構築し、
そこから傾斜量などを赤色の彩度・明暗などに変換して微地形を可視化するものですが、
弱点もあって、それは地表面が見えないほどの劇薮、
例えば大きな葉が表面を覆い尽くしてしまう酷い笹薮では、
レーザーが地表まで届かないため、薮の表層を標高データとして誤って捉えてしまうことです。
以前に参加した栃木市の西方城のシンポジウムでも、
その問題があって城の南斜面の地形データが正確に捉えられず、
薮払いするしか手がない、ということで、
わざわざ薮を伐採してから再度航空レーザー測量をやり直した事例が紹介されていました。
今回の「疑似土塁」問題も基本的には同質のもので、
例えば曲輪が畑などになっている場合に、
畑の外周に当たる曲輪の塁線沿いに未整備の劇薮が残っていると、
それがレーザー測量の障壁になって、誤った標高データが捉えられてしまい、
あたかもそこに土塁があるように表現されてしまうというものです。
そこに実際に土塁があるのかないのかは、実際に現地で確認してみないとわかりません。
赤色立体図は城巡りをするための非常に強力なツールですが、
こうした問題点があることを認識したうえで利用していく必要があります。
←赤色立体図の疑似土塁の例現地の実際の状況、薮だけで土塁なし↓





